そして始まる物語 

「無知の知ノート」別冊

ドッペルゲンガーを体験したのかもしれない 

f:id:hentekomura:20191010190745j:plain

 

インストラクターという仕事柄 初対面でもよく声をかけられる  

仕事場以外の街角などで声をかけられた場合 

時には 

・・・誰だっけ と思いながら会話を合わせてしまうこともある 

 

再登場か!ドッペルゲンガー

 

先日もそうだった バス停で声をかけられた 

f:id:hentekomura:20191010191034j:plain
 

いつもはマイカーでの移動が多く バスや電車を利用することは滅多にないのだけど 飲み会の約束があって 久々のバスだった 

 

「先生 お久しぶりです 何年ぶりでしょうか あのクラブではもうレッスンされないんですか?」

 

30代後半くらいのその男性の口調はとても親しげで 

過去に私のレッスンを受けてくれた人には違いないけど  

どこのクラブで会った人なのか 

見覚えはあるけど名前が出てこない 

 

自分のダンス教室を主宰するようになってから 

フリーレッスンの仕事は代行を頼まれた時以外にはやっていないし それも最近ではないから 

もう何年も前に出会った人なのだろう 

 

「お元気そうで! お久しぶりですっ!」 

職業病にしても 大きな声でムダに明るく喋ってしまう自分が キライ 

 

バスに揺られる間 彼の近況をたっぷりと聞かされて 

・・・聞き上手やん 私 と ちょっと自分を労った 

 

15分ほどで終点の駅前に着いて 別れ際の彼の言葉が 

バスを降りてからも 引っかかっていた 

  

 「何度かお見掛けしてたんですよ 先月も駅前のツタヤでCD見てたでしょ?」

 

ツタヤ? 昔はよく行ったけど 先月なんて 行っていない!  

仕事で使う音源は iTunes でダウンロードするようになってから 

CDを買った記憶も遠い 

 

また出たのかっ! 私のドッペルゲンガー 

奇妙過ぎたあの日々のことが蘇る、、、 

 

f:id:hentekomura:20191010190745j:plain
f:id:hentekomura:20191010191115j:plain

 

電気店で

  

愛犬と散歩ついでに 電気店へ寄って 

門灯用の小さな電球を買おうと  

千円札を1枚 ポケットに入れた 

 

切れたままの電球が ずっと気になっていた  

門灯用の特殊な電球は スーパーには置いてなくて  

 

確か 電気店があったはず  

車から見た覚えがあった  

 

記憶を辿りながら 北方向へ歩いて行くと 

次のバス停近くに 小さな電気店を見つけた 

 

リードを 歩道の街路樹の柵にくくって 

初めて入るその店の ガラス扉を押し開けた  

f:id:hentekomura:20191010191209j:plain

 

切れた電球をポケットから出して見せると 

店主の男性は商品棚のところを ガサガサと手で掻き分けて 

微妙にサイズの違う商品たちの中から 

同種の電球を 探し出してくれた 

 

それを 奥さんらしい女性が受け取り レジを打つ  

 

つり銭を手渡されながら 

女性の問い掛けに 私は当惑してしまった 

 

「ワンちゃんは 元気?」

 

「えっ?」

 

「ワンちゃんが噛むからって 

 よくイヤフォン買いに 来てくれていたでしょ」

 

「いえ・・・私じゃないです・・・」 暫く固まってしまった 

 

「いやぁ よくイヤフォン噛まれていたでしょ」

 

 覚えているわよ~と言いたげに 満面の笑み 

 

「ほら あのワンちゃん」 

 

歩道で待たせている愛犬は 

近くのブリーダーさんで 

引き取り手なく残っていた成犬の1頭を   

貰い受けたハスキー犬   

 

その私にそっくりな人も 

ハスキー犬を飼っているのか!? 

  

うちの犬はイヤフォンを噛んだことなど 1度も無い    

 

いくら否定しても 

その笑顔は あまりに自信たっぷりで 

  

・・・もしかして 私 イヤフォン買いに来たっけ? 

 

思わず 記憶を辿ってしまった    

 

いやいやいや 無い! 初めて来た店だし!  

  

「あらぁ ごめんなさい・・・じゃ人違い? としたらソックリ 

 

「そんなにソックリなんですか?」

 

「もうまるで同じ! 年格好も雰囲気も 髪型も」 

 

「その人が来られた時 会いたいって伝言 お願いしてもいいですか?」

 

名前と連絡先を伝えて 電気店から帰宅した  

 

f:id:hentekomura:20191010191237j:plain
f:id:hentekomura:20191010191246j:plain

 

ドッペルゲンガー実話伝承

 

帰宅後すぐに ネットで調べたてみた 

  

“ドッペルゲンガー” 

ドイツ語で 自分そっくりの分身のこと 

 

ネット検索しながら 

精神医学用語として紹介されているその文面に釘付けになった 

  

ドイツでの通説によると ドッペルゲンガーを見た者は 

数日のうちに必ず死ぬといわれているらしい  

 

そして中国や日本の古い文献にも 実話伝承として   

いずれもやはり 

分身を見たあと 訳の分からない病に臥して死んでしまったという 

  

歴史上の人物の ドッペルゲンガーの記述も残っていた  

 

アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーン 

帝政ロシアのエカテリーナ2世 

古代の哲学者ピタゴラス 

日本の芥川龍之介 など 

 

19世紀のフランス人教師 エミリー・サジェは 

第三者からも多数目撃されたというドッペルゲンガーの実例として 有名らしい 

   

キッカイ奇奇怪怪 ドッペルゲンガー 

   

(参照)

ドッペルゲンガー - Wikipedia 

エミリー・サジェ - Wikipedia

  

f:id:hentekomura:20191010191332j:plain
 

会いに行こう

 

実は 電気店の数日前にも 近くの鶏肉店で 同じように 

自信たっぷりに 間違えられていて    

自分とソックリな人がいるという衝撃は確信に変わった  

 

その鶏肉店は 初めて行ったのではなかったけど 

いつも買い物はスーパーで済ませてしまうので滅多に行くことはなく 

久しぶりに足を運んだのだった   

 

「きょうは実家 帰って来たの?」

 

質問の意味がわからなくて 

聞けば その店主の知り合いの娘さんと間違えたという 

 

今は結婚して離れたけれど 

小さい頃からよく知っていて 親しい間柄なのだと 

 

そんな親しい人が 間違うほどに似ているのか!  

  

電気店で間違われた人と 

鶏肉店の知り合いの人は きっと同じ人物に違いない 

 

ハスキー犬まで同じって どういうことなのか  

会ってみたい! 

 
 

ソファに横になり   天井をぼんやり見上げながら 

以前 占いオタクの友人に言われた言葉を 思い出していた  

 

「占い事では予測しようのない 稀な星の元に生まれていて 

 波乱万丈の人生を送る」

 

いまのところ たいして波乱万丈でもないし 

予測しようのない占いなんて 笑って聞くしかないけど 

 

例えば誰でも 1度くらい考えたことないだろうか 

“別の生き方があったのでは” と 

 

しょっちゅう 自己嫌悪に陥る私は 

自分に正直に生きているのかどうかさえ ワカラナイ 

 

人生の岐路に立ち 選択を余儀なくされた時  

もうひとりの自分が 別の道を選んで 

歩いて行っていたとしたら 

 

ドッペルゲンガー? 

   

世界中の精神科医にわからないことが 

私にわかる筈も無い  

 

会いに行ってみよう! と心に決めて 

 

後日 東1丁目あたりから 住宅街を隈なく歩いた 

目印は ハスキー犬のいる家 

  

愛犬は家に残して ひとりで出掛けた 

 

相手のハスキー犬が うちの愛犬の  

もし ドッペルゲンガーだとしたら 

 

出会うと死んでしまう?! かもしれないから  

 

 

歩いて探索 2日目に  

 

見つけた! ガレージに ハスキー犬   

 

 

ドッペルゲンガーを訪ねた

f:id:hentekomura:20191010191246j:plain

   

探し当てたハスキー犬のいる家の前

車道を挟んで しばらく立ちすくんだ 

 

人の気配の無い家に向かって ゆっくりと近づいた 

 

高さ1mほどのガレージフェンスの中 

犬は 眠っている 

 

目を覚ましたら 犬は私にどう反応するだろう 

似ているとしても 飼い主を見間違うことはないだろう 

それとも あれ?とは思いながらも近づいて来てくれるだろうか?

 

ドキドキしながら 声を掛けてみた

 

「コンニチワ」 

 

微動だにしない犬に もう一度

 

「コンニチワ!」

 

 

・・・ 

 

 

 爆睡 汗 

 

 

ピンポンして家の人を呼び出すことも 一瞬考えたけど 

その理由を うまく説明する自信がない 

 

不思議なことに その辺一帯 近所の人さえ姿も無く 

ひっそりとしていた  

 

 

検証ならず 諦めてその日は帰宅 

 

 

翌週 訪ねた家に 

ハスキー犬は 何故か もう居なかった 

 

それから日を空けて2度 訪ねた時も居なかった 

 

家の人の気配も 無い 

ピンポンする勇気は やはり無い 

近所を行き交う人の姿も無い   

  

どういう訳なのか  

この次元に来たことを 拒否されているのか 

偶然なのか 

 

結局 家の人にも犬にも 近所の人にも 私の姿は見られることなく 

検証は 果たせないまま心残りとなったけど   

 

それを許さない 何かの力が働いているのだとしたら 

抗うのは もうやめにしたほうがいいのか 

 

f:id:hentekomura:20191010191549j:plain

  

その後も何度か 身に覚えのないことを言われた   

 

「なんか怖い顔して運転してたね」 とか  

・・・そこ行っていないし  

  

見知らぬ人から 親し気な笑みを送られたり 

・・・誰ですか? 

  

やはり居るのか! ドッペルゲンガー 

確かめたい気持ちは 拭えない 

 

相手からみれば ドッペルゲンガーは私だ 

どちらが優位とかじゃなく 

見えない引力のようなもので 

危ういバランスを保っているのかもしれない 

 

ドッペルゲンガーを自覚して生きる

  

その翌年  

12歳で死んだ愛犬は 

大型犬としての 寿命だったといえる 

f:id:hentekomura:20191010191627j:plain
(愛犬をイメージして作った陶板)

 

これを書き上げる前に 何年振りかで 

もう一度 あの家の前まで 行ってみた 

 

やはり犬の姿はなく 

あの日と同じように 近所に人影もなく 

ひっそりとしていた 

 

1度だけ 寝姿を見ることができたあの犬も 

もう死んでしまっただろう  

  

f:id:hentekomura:20191010191719j:plain

(散歩途中に出会った猫さん)

 

性格や生き方は 顔に出るっていうから 

たとえ ドッペルゲンガーではないにしろ 

自分に似た人に会うのって 

 

想像するだけで ドキドキする 

 

 

とりあえず今は 

運転中には 

怖い顔にならないように気を付け 

 

笑顔を送られた時には 

笑顔で返すように 心掛けている 

 

 

もし居るなら ドッペルゲンガーさんも 

同じくらいの気遣いを していてくれたら有難い 

 

 

「いつもニコニコしていて悩み無さそうと 

 言われる自分が 時々 イヤにもなるのだけど  

ドッペルゲンガーさんへの義理立て?もあり 

 

これからも 

愛想笑いに精進し続ける  

 

f:id:hentekomura:20191010191753j:plain
f:id:hentekomura:20191010191800j:plain



ご訪問ありがとうございました 

感謝☆