そして始まる物語 

「無知の知ノート」別冊

命の危険を感じたニューヨークの夜

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(旅の思い出 ニューヨーク編) 

 

滞在3日目 

暮れかけたセントラルパークで何者かに付きまとわれた

  

危険と安全が紙一重の社会 

油断は禁物

 

「気味悪いな」

 

旦那さまの言葉をキッカケに 

不審者がナニモノなのか 確認できる距離に近づく前に ふたり小走りで逃げた 

 

 

銃社会では日常なのか 

この街のショップ入り口には ピストル携帯の大柄なガードマンが 睨みを効かせて立っている 

 

ショッピングの帰り 時刻は22時を過ぎていた 

両手にいっぱいの紙袋をぶら下げて タクシーを停めた 

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・・・シマッタ! 

乗り込んでから気付いた

 

・・・これはイエローキャブじゃない!

 

タクシーなら当たり前の料金メーターが付いていない 

助手席にはピストルが無造作に置かれている  

ドライバーはボクサーのように腕の太い白人

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暗かったとはいえ 安易に手を挙げてしまったことを後悔した 

すでに走り出している 

不安ながらも目的のホテル名を告げた 

 

「○○○○avenue △△△HOTEL please」

 

「65 dollars OK?」

 

腕の太いドライバーが これまた太い声で料金を言ってきた 

 

・・・65ドルなんてOKじゃない! 20ドルもしない距離のはず

 

「We get off here」

 

降ります!と言っても 

バイパスに入ったからここで停めるのはムリと言う 

 

高すぎる!と抗議すると 

じゃぁ40ドルで と下げてきた  

 

「fourteen?」

 

fourty と聞き取れてはいたが 

あえて とぼけて返事してみた

 

「NO! 40 dollars !」

 

「14 dollars?」

もう一度返してみる

 

すんなりと払ってしまっては

今後も日本人はバカにされ カモにされてしまう

 

やり取りを何セットか繰り返したあと

 

「NO!」 

英語の理解できないコノ日本人めっ! 

とばかりに大声で叫んだドライバーは 

ハンドルに乗せたままの手でメモを書いてよこした 

 

渡された手のひら大のメモには 

” 40!” と書かれている 

 

「なんか怒ってるぞ」

 

英語は苦手だから旅行中の会話は任す 

と言っていた旦那さまが 不安そうに口を開いた 

 

早く対処を考えなければ

ピストルを向けられそうな気配 

 

ドライバーがバイパスだという道からアンダーパスを抜けると 

通行人も無く薄暗い倉庫街のような 殺風景な通りに出た

 

マップを思い出しても ホテルへの途中にこんな道は記憶にない 

 

無線で仲間にナニヤラ喋っている 

「今から日本人のカモを連れて行くから待ってろ」

そう聞こえた 

早口を聞き取れるほど英語堪能なわけじゃないけど 

 

・・・何処へ向かっているのか

 

「Please stop here!」

 

運転席を後ろからドンドンと殴ってみたが 車は停まらずに走り続ける 

 

「次の信号で停まったら そっちのドアから降りて! 私はコッチから」

ささやく私に うなずく旦那さま 

 

ただならぬ気配を 黙って理解してくれた 

 

頭の中でシミュレーションしながら 

後部座席でふたり その時を待った 

 

 

数分後 信号で停まった 

 

 

旦那さまがドアを開けたのを確認してから 

少し怒った演技をして 

財布からドル紙幣を出すフリをした 

 

「OK! I pay you!」

  

さっき渡されたメモを手でクシャクシャと丸めて 

後部座席に投げ 車を降りた 

 

ドル紙幣を投げられたと納得したのか 

車は走り去った  

 

叫びながら 全速で走り出した

「走って! 早く走って! 明るい通りに向かって走って!」 

 

「えーーーっ!? 払ったんやろ?」

 

「払ってない! 紙クズ! 気付いたら戻ってくるかも!」

 

ふたりとも買い物した紙袋をバッサバッサと足にぶつけながら全速力で走った 

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明るい賑やかな大通りまで2ブロックほど走って 

イエローキャブに乗り込んだ 

 

ラテン系の陽気なドライバーにホッとしたと同時に 

旦那さまの説教が始まった 

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「支払えばよかったのに 

こんな危険なことは  二度とするな」

 

 「だって 言われるままじゃ悔しいじゃん 

また誰かがカモにされるし」

 

「無事だったからよかったものの、、、」

 

 

私はよく説教される 

近所迷惑な暴音バイクを仁王立ちして停めた時も 

「あんなまねは二度とするなっ」と叱られた 

 

無茶をしてしまうことの自覚はあるし

心配かけて申し訳ないとも思っている   

 

 

「次から次とハラハラさせられて、、、退屈する間がない」 と 笑ってくれる彼に ホッとする 

 

私のこと「ヘンテコ」っていつも呼ぶけど 

彼もけっこう「ヘンテコ」で  

理解してくれる人でヨカッタ 

 

 

ご訪問ありがとうございました 

感謝☆

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